私はコインチェックで、イーサリアム(ETH)を少しだけ持っていてステーキングをしています。このETHは、もらったポイントを交換して手に入れたもので、金額にすると数千円程度です。暗号資産のメインはビットコイン(BTC)です。
ステーキングの報酬の画面を見ていて、ふと「ビットコインではなく、イーサリアムを買ってステーキングしておいた方が良かったのでは?」と考えました。そこで、ETHを持ち続けた場合に枚数がどのくらい増えるのかを計算して確かめてみました。
この記事のまとめ
・ステーキングは、ETHをネットワークの運営に使ってもらい、その報酬をETHで受け取るしくみ
・コインチェックは申し込み不要。アプリには報酬の目安として「年率 最大 約1.9%」と表示(2026年10月17日時点)
・報酬率を年1.9%で一定と仮定すると、1 ETHは10年後に約1.21 ETH(計算上)
・ただし、円での価値はETHの価格しだい。価格の上下は、報酬よりずっと大きい
・報酬は受け取った時点の価格で所得になり、税金がかかる
・「BTCよりETHでステーキングした方が良かったか」は、一概には言えない
はじめに:この記事について
暗号資産は値動きがとても大きく、元本割れのリスクがあります。ステーキングの報酬率は変わることがあり、保証されたものではありません。この記事の数字は、報酬率を一定と仮定した計算上のもので、将来の結果を示すものではありません。特定の暗号資産や取引所をすすめる記事でもありません。なお、私はイーサリアムとビットコインを今も保有しています。
イーサリアムのステーキングとは?
イーサリアムは、2022年に「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」というしくみに移りました。ETHを預けて(ステークして)ネットワークの運営に参加する人を「バリデーター」といい、新しい取引の記録が正しいかを確かめる役目をしています。その見返りとして、ETHで報酬が支払われます。これがステーキングです。
つまり、ステーキングの報酬は「円」ではなく「ETHの枚数」で増えるのがポイントです。この記事のシミュレーションも枚数で計算しています。
取引所に預けて行うステーキングと、自分で行うステーキングの違い
| 取引所に預けて行う | 自分で行う | |
|---|---|---|
| 必要なETH | 少額から(取引所のルールしだい) | 1つのバリデーターにつき32 ETH以上 |
| 手間 | 取引所がすべて行う | 機器やソフトを用意して、自分で動かし続ける |
| 報酬 | 取引所が受け取り、手数料を差し引いて配る | ネットワークから直接受け取る |
| 主な注意点 | ETHを取引所に預けることになる | 止まると報酬が減る。不正とみなされる動きをするとETHの一部を失う(スラッシング) |
私が使っているのは、取引所に預けて行うほうです。自分で行うステーキングは32 ETHが必要で、機器の準備や管理もいるため、私のような少額では現実的ではありません。
コインチェックのステーキングの条件(2026年10月17日時点)
コインチェックの公式サイト(お知らせ・手数料ページ・プレスリリース)と、私のアプリの表示で確認した内容です。
| 申し込み | 不要。対象の暗号資産をコインチェックの口座で持っていれば、報酬の対象になる(コインチェックが定める要件を満たす場合) |
|---|---|
| 対象の暗号資産 | イーサリアム(ETH)。2025年1月31日の開始時点で、対象はETHのみ |
| 表示されている報酬の目安 | アプリの表示は「年率 最大 約1.9%」(2026年10月17日時点) |
| 報酬の付与 | 28日ごと(水曜日)に、取引アカウントへETHで付与 |
| 報酬の計算 | 28日間の各日に持っていたETHの量に応じて、コインチェックが受け取った報酬の70%を利用者に配分。残りはコインチェックの手数料 |
| 最低保有量 | 公式のお知らせ・手数料ページには、最低保有量の記載は見当たらない |
| ロック・売却 | ステーキングの対象でも、送金や売却は制限されない(公式のプレスリリース) |
| 受け取りたくない場合 | ウェブやアプリで「オプトアウト(受け取らない設定)」ができる |
ひとつ注意したいのは、報酬の計算方法です。コインチェックの手数料ページによると、利用者への報酬は「コインチェックがネットワークから受け取った報酬の70%」を、持っているETHの量に応じて分ける形です。そのため、表示されている1.9%は決まった率ではなく、「最大」の目安です。ネットワーク全体の状況などで、実際の報酬率は上下します。

私の場合は、もともとのETHが数千円程度なので、付与された報酬も金額にするとごくわずかです。
シミュレーション:1 ETHを持ち続けると、何枚になる?
計算の前提と式
- 持っているETH:1 ETH(途中で買い足しも売却もしない)
- 報酬率:Coincheckのアプリに表示されている最大の目安 約1.9%(2026年10月17日時点)を仮に使う。ずっと同じ率が続くと仮定
- 報酬は28日ごとに付与され、受け取ったETHもそのまま持ち続ける(次の報酬の計算に含まれる)
- 1回あたりの報酬:年率 × 28日 ÷ 365日(1.9%なら約0.146%)
- 1年は13回として計算(13回×28日=364日)。3年=39回、5年=65回、10年=130回
- 税金と、ETHの価格の変動は考えない
計算式
n回後のETHの枚数 = はじめの枚数 ×(1 + 年率 × 28 ÷ 365)n
例:1.9%で1年(13回)なら、1 ×(1 + 0.019 × 28 ÷ 365)13 ≒ 1.0191 ETH

1.9%が10年間ずっと続いたと仮定しても、1 ETHは約1.21 ETHです。棒を0から描くと、1年ごとの増え方はかなりゆっくりなのがわかります。
報酬率を変えた場合(1 ETHあたり)
報酬率は変わることがあるので、0.5%から1.9%まで、いくつかの率で計算しました。
| 報酬率(年) | 1年後 | 3年後 | 5年後 | 10年後 |
|---|---|---|---|---|
| 0.5% | 1.0050 | 1.0151 | 1.0252 | 1.0511 |
| 1.0% | 1.0100 | 1.0304 | 1.0511 | 1.1048 |
| 1.5% | 1.0151 | 1.0459 | 1.0776 | 1.1613 |
| 1.9% | 1.0191 | 1.0584 | 1.0993 | 1.2085 |
0.1 ETHなら、表の数字を10分の1にしてください(例:1.9%で10年なら約0.121 ETH)。
ちなみに、受け取った報酬を毎回売ってしまい、元の1 ETHだけに報酬が付き続ける場合(複利にならない場合)は、1.9%・10年で報酬の合計が約0.19 ETHです。28日ごとの複利との差は、10年で約0.02 ETHでした。
円での価値は別。ETHの価格しだいで大きく変わる
ここまでは「枚数」の話です。円での評価額は「枚数 × その時のETHの価格」なので、価格が動けば大きく変わります。
実際の価格を予想することはできないので、ここでは仮に今の評価額を100として、価格が「半分」「変わらない」「2倍」になった場合を計算しました(報酬率は1.9%で一定と仮定)。
| ETHの価格 | 1年後(1.0191 ETH) | 10年後(1.2085 ETH) |
|---|---|---|
| 半分になった場合 | 約51 | 約60 |
| 変わらない場合 | 約102 | 約121 |
| 2倍になった場合 | 約204 | 約242 |
1年で見ると、報酬で増えるのは枚数の約2%です。一方で、価格は1年で半分にも2倍にもなりえます。ETHの価格が1年で約2%下がるだけで、1年分の報酬の効果はなくなる計算です(10年分でも、価格が約17%下がれば同じです)。
値動きの大きさは、私自身の口座でも感じています。私のコインチェックの口座はほとんどがビットコインですが、2026年10月17日時点で、1年前と比べて約10%のマイナスでした。ビットコインでも、1年で約10%動いたことになります。年に約2%の報酬と比べると、価格の動きのほうがずっと大きいことがわかります。預金の利息のように、元本が守られたまま増えていくものではありません。
ステーキング報酬にかかる税金
今のルール:受け取った時点の価格で所得になる
国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(令和7年12月最終改訂)では、ステーキングなどで暗号資産を取得した場合、取得した時点の価額(時価)が所得の計算上の収入になるとされています。暗号資産の取引で生じた所得は、原則として雑所得で、給与などと合わせて計算する総合課税です。
- 報酬は、売っていなくても、受け取った時点の価格で所得になる
- その後に売ったときは、受け取ったときの価格との差が、あらためて所得(または損失)になる
- 会社員などで、給与以外の所得の合計が年20万円以下なら、所得税の確定申告が不要な場合がある(国税庁 タックスアンサーNo.1900)。ただし、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は別に必要とされている(例:広島市の案内)。くわしくは、お住まいの市区町村で確認を
28日ごとに受け取るたびに、その時の価格で所得を計算することになるので、受け取った日と数量の記録は残しておいたほうが安心です。
2026年の税制改正で決まったこと・まだ決まっていないこと
令和8年度(2026年度)の税制改正では、一定の暗号資産(特定暗号資産)を暗号資産取引業者に売ったとき(譲渡)の所得を、20%(所得税15%・住民税5%。別に復興特別所得税)の申告分離課税にすることが決まりました。始まる時期は、暗号資産の規制を金融商品取引法に移す改正法の施行日によって決まり、2026年10月17日時点ではまだ確定していません。
一方で、ステーキング報酬そのものを分離課税の対象とする記載は、財務省の「令和8年度税制改正の大綱」には、私が確認した範囲では見当たりませんでした。報酬を受け取ったときの所得が今後どう扱われるかについて、公式の詳しい説明は確認できていないので、ここでは断定しません。
ステーキングのリスク
- 価格の変動:報酬でETHの枚数が増えても、価格が下がれば円での評価額は減る
- 報酬率は変わる・保証されない:表示は「最大」の目安で、ネットワークの状況などで上下する
- 取引所に預けるリスク:取引所の経営やシステムのトラブル、不正アクセスなどの影響を受ける可能性がある
- ネットワークのリスク:イーサリアムのしくみの不具合や、バリデーターへの罰則(スラッシング)など
- 税金:売っていなくても、報酬を受け取った時点で所得になる
- ルールの変更:サービスの内容や税制が変わる可能性がある
BTCではなくETHを買ってステーキングした方が良かった?
最初の疑問に戻ります。私の答えは「一概には言えない」です。
- ステーキングの報酬は、ETHの枚数で増えるもの。年1.9%で一定と仮定しても、10年で約1.21倍(枚数)
- 円での価値は、BTC・ETHそれぞれの価格しだい。価格の変動は、報酬よりずっと大きい
- 報酬には税金がかかる
たとえば、ETHを持ってステーキングしていても、その間にETHの価格がBTCより大きく下がれば、ビットコインを持っていたほうが結果は良かったことになります。反対のことも起こりえます。報酬があるかどうかより、価格がどう動くかのほうが、結果を大きく左右します。
なお、私自身は、持っているビットコインとイーサリアムを、基本的にはそのまま持っておく(放置しておく)方針です。
まとめ
イーサリアムのステーキングは、ETHをネットワークの運営に使ってもらい、その報酬をETHで受け取るしくみです。コインチェックでは申し込み不要で、2026年10月17日時点のアプリの表示は「年率 最大 約1.9%」でした。
この1.9%が10年間続くと仮定すると、1 ETHは計算上 約1.21 ETHになります。ただし、報酬率は変わることがあり、保証もありません。そして円での価値はETHの価格しだいで、価格の上下は報酬よりずっと大きく影響します。報酬には税金もかかります。
私がコインチェックでビットコインを積み立てた記録はこちらです。
参考資料
- コインチェック「Coincheck ステーキング サービス詳細のお知らせ」
- コインチェック「Coincheckステーキング」提供開始のお知らせ(プレスリリース)
- コインチェック「手数料」(ステーキング手数料)
- ethereum.org「イーサリアムのステーキング」
- 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(令和7年12月)
- 国税庁 タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」
- 広島市「個人の市民税・県民税(住民税)の申告が必要なのは、どのような人ですか。」
- 国税庁「令和8年度 株式等や土地・建物等を譲渡した場合の主な改正のあらまし」
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」(令和7年12月26日閣議決定)


コメント