薬剤師のこたろーです。私は在宅特化型の薬局で働いていて、2026年度の心不全療養指導士の認定試験に申請しました。
心不全療養指導士を受験するには、症例報告書を5例書いて提出する必要があります。私は在宅で関わった患者さんの中から5例を書いて提出し、いまは11月の査読の結果を待っているところです。
この記事では、症例報告書のルールと、私がどうやって症例を選び、検査値を集め、確認者・指導者を探したかをまとめます。査読の結果はまだ出ていないので、あくまで「私はこうやった」という記録として読んでいただければと思います。
この記事のまとめ
・症例報告書は5例。すべて別の患者さんで、2テーマ以上にする。1例ずつ確認者・指導者の押印が必要
・症例は、関わった患者さんの中で特に印象的だった人を何人か選び、テーマに沿う形で抽出した。選んだテーマは②④⑤⑦⑧
・検査値は、在宅クリニックから届く診療情報提供書や診療レポートで書けた。届いていなければ、クリニックの相談員に相談する
・確認してもらえるか分からず不安な時期もあったが、職場の薬局の上司と教育研修部の人に、指導と確認印をお願いできた。職場で指導が受けられない場合は、循環器専門のクリニックの医師に相談する方法や、日本循環器協会の作成支援セミナーもある
・記入にかかったのは2週間ほど。在宅は患者さんに深く関われるので、症例報告は書きやすかった
・提出は、7月末までのデータ提出と、確認印をもらった紙の郵送の2段階。データと紙の内容は一致させる
受験資格や申請までの流れ・費用は、こちらにまとめています。
症例報告書の基本ルール
まずは、公式サイトに書かれている症例報告書のルールを整理しておきます(2026年度、2026年10月17日確認)。
- 5例を書く。5例はすべて別の患者さんにする(同じ患者さんで2テーマを書くのは不可)
- 5例が全部同じテーマにならないよう、2テーマ以上にする(5例すべてが同じテーマだと審査の対象外)
- 国家資格を取ったあとに経験した症例に限る
- 個人や施設が特定される情報は匿名化する
- 1例ずつ確認者・指導者(所属長・部門長・循環器科の医師など)に内容を確認してもらい、押印をもらう
- オンライン入力(6月1日〜7月31日)と、印刷した書類の郵送(8月1日〜8月10日)の両方が必要
症例報告書に書く項目
症例報告書には、おもに次のような項目を書きます。
| 項目 | 書く内容(公式サイトの説明を要約) |
|---|---|
| 患者背景 | 社会資源の利用、家族の状況、認知機能・心理面など |
| 心不全の病態 | 原因疾患、併存疾患、現病歴、心不全進展ステージ、検査・身体所見 |
| 心不全治療 | 薬物療法(一般名で書く)、非薬物療法 |
| セルフケアの状況 | 心不全の知識、セルフモニタリング・受診、服薬管理、栄養・水分、身体活動、喫煙 |
| 療養指導 | 実践した療養指導と、その結果としての患者さんの変化 |
検査値では、左室駆出率(LVEF)、BNPまたはNT-proBNP、NYHA分類が必須の項目になっています(ステージA・BのNYHAは「該当なし」)。薬は商品名ではなく一般名で書きます。
公式サイトには、症例報告書の記載例(良い例・悪い例)も載っていて、薬剤師が書いた例もあります。また、受験者用のeラーニングにも「症例報告書の書き方」の講義があります。書きはじめる前に、目を通しておくとイメージがつかみやすいです。
参考:日本循環器学会「症例報告書」(2026年10月17日確認)
症例の選び方:印象的だった患者さんから、テーマに沿って抽出
症例は多かったので、選ぶのに困ることはありませんでした。
私がやったのは、これまで関わった患者さんの中で、特に印象的だった人を何人かピックアップし、テーマに沿う形で抽出するという方法です。
8つのテーマと、私が選んだテーマ
症例のテーマは、次の8つです。私が選んだのは、②④⑤⑦⑧の5つでした。
| テーマ | 内容 | 私の選択 |
|---|---|---|
| ① | ステージA・B 心不全発症予防のための療養指導 | |
| ② | ステージC 初発心不全患者への療養指導 | ○ |
| ③ | ステージC 心不全を繰り返す患者への療養指導 | |
| ④ | ステージD 難治性心不全患者に対する療養指導 | ○ |
| ⑤ | ステージD 人生の最終段階にある心不全患者への療養指導 | ○ |
| ⑥ | 高齢心不全患者への療養指導 | |
| ⑦ | 心臓手術を受けた周術期の患者に対する療養指導 | ○ |
| ⑧ | 多職種連携、地域連携の強化が必要な療養指導 | ○ |
患者さんのプライバシーのため、それぞれの症例の中身はここでは書きません。
在宅は患者さんに深く関われるので、症例報告が書きやすかった
実際に書いてみて感じたのは、在宅だと症例報告がとても書きやすいということです。
在宅では、患者さんに深く関わることができます。そのおかげで、症例報告はまったく苦にならないほど書けました。
在宅に転職して、患者さんとの関わり方がどう変わったかは、こちらに書いています。
検査値は、診療情報提供書や診療レポートで集めた
症例報告書には、LVEFやBNPなどの検査値も書く必要があります。薬局の薬剤師だと、ここが心配な方もいるかもしれません。
最近の在宅クリニックは、介入を始めるときに、前医からの診療情報提供書やクリニックの診療レポートを薬局にも送ってくれるところが多いです。なので検査値も問題なく書けます。
もし送ってもらえていない場合は、クリニックの相談員さんに相談してみるとよいと思います。
確認者・指導者はどう探す?
症例報告書は、1例ずつ確認者・指導者に内容を確認してもらい、押印をもらう必要があります。
確認してもらえるか分からず、不安だった
実は申請のころ、症例を確認してもらえるか分からず、不安だった時期がありました。
あとで調べてみると、日本循環器協会が症例報告書の作成を支援するセミナーを開いていることを知りました。ただ、気づいたときにはすでに終わっていて、そこで指導や確認をお願いすることはできませんでした。
結局、職場の薬局の上司と教育研修部の人にお願いできた
結局、職場の薬局の上司にあたる人と教育研修部の人に、症例の指導と確認印をお願いすることができました。なので、私の場合は問題なく提出できました。
職場で指導が受けられない場合の対策
職場で指導や確認をしてもらうのが難しい場合は、次のような対策があります。
① 循環器専門のクリニックの医師に、事前に相談する
症例報告書を書きはじめる前に、循環器専門のクリニックの医師に相談しておく方法です。薬局にとっては、クリニックとの関係をつくる営業のきっかけにもなります。
② 日本循環器協会の「症例報告書」作成支援セミナーを活用する
日本循環器協会が、心不全療養指導士を受験する人などを対象に、症例報告書の作成を支援するセミナーを開いています。2026年は6月6日(土)にWebでライブ配信され、あとからオンデマンド配信もありました(参加費2,000円)。公式のお知らせでは、職場に循環器科の医師がおらず、指導を受けるのが難しい人などに受講をすすめています。
私のように、気づいたときには終わっていた…とならないよう、毎年の開催時期は早めに確認しておくのがおすすめです。
参考:日本循環器学会「循環器協会主催『症例報告書作成支援セミナー』開催のお知らせ」(2026年10月17日確認)
クリニックへの営業で私がやっていたことは、こちらにまとめています。
書いた期間は2週間ほど。締め切りギリギリに完成
症例報告書の記入自体にかかったのは、2週間ほどです。
私はいつも締め切りギリギリに滑り込むタイプで、夏休みの宿題は8月末に泣きながらやっていました。今回も、7月半ばに書きはじめて、7月25日ごろに書き終わりました。
なお、オンライン入力の締め切りは7月31日ですが、そのあとに確認者・指導者の押印をもらって、8月10日までに郵送する必要があります。公式のお知らせでも、締め切りに余裕を持って進めるよう案内されています。
提出は「データ」と「紙」の2段階
症例報告書は、書いて終わりではありません。私は7月末までにオンラインでデータを提出し、そのあと紙でも提出しました。紙で出すときに気をつけたのは、次の3つです。
- データと紙の内容を一致させる:オンラインで登録した内容を印刷して使います。印刷した症例報告書は、データで提出した内容と相違がないことが必須です。7月31日まではオンラインで修正できますが、修正したら必ず保存・印刷し直します
- 確認印は、印刷したものにもらう:確認者・指導者には、印刷した症例報告書に確認印を押してもらいました。確認印(またはサイン)は5例すべてに必要で、指導者の署名は手書き、施設名はゴム印などでも大丈夫です
- 郵送で事務局へ送る:確認印をもらった症例報告書を、受験申請書などほかの書類と一緒に、A4封筒で事務局へ郵送しました(8月1日〜8月10日、消印有効)
受験料の振込は8月10日までで、振込明細のコピーも同封します。郵送先は、オンライン申請を終えると印刷できる書類に載っています。
※2026年度の申請時の案内にもとづいています。手順は年度によって変わることがあるので、必ず公式サイトで確認してください。
まとめ:在宅で関わった患者さんの中から、5例を書いた
- 症例報告書は5例。すべて別の患者さんで、2テーマ以上。1例ずつ確認者・指導者の押印が必要
- 症例は、特に印象的だった患者さんの中から、テーマに沿って抽出した(私は②④⑤⑦⑧)
- 検査値は、在宅クリニックから届く診療情報提供書・診療レポートで書けた。届いていなければ相談員に相談
- 確認してもらえるか分からず不安な時期もあったが、職場の薬局の上司と教育研修部の人に、指導と確認印をお願いできた。職場で指導が受けられない場合は、循環器専門のクリニックの医師への相談や、日本循環器協会の作成支援セミナー(開催時期は早めに確認)もある
- 記入にかかったのは2週間ほど(7月半ば〜7月25日ごろ)
- 提出は、7月末までのデータ提出と、確認印をもらった紙の郵送の2段階。データと紙の内容は一致させる(受験料は8月10日まで)
- 在宅は患者さんに深く関われるので、症例報告は書きやすかった
病院での経験が在宅でどう活きたか(心不全の患者さんのフィジカルアセスメントなど)は、こちらに書いています。






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